第171章

山口和樹に言わせれば、酒井初音が薬粧業界でそれなりに名を上げたのは認める。

だが――本物の漢方研究の技術と、表面を整えるだけの美容・スキンケアの技術は、まるで別物だ。

それでも彼が初音の言うことを聞く気になったのは、ひとえに国主と酒井正志が彼女に向ける態度ゆえだった。

少なくとも国主の目には、酒井初音は酒井正志以上に「重い存在」として映っている。そんな空気が、はっきりとある。

山口和樹の協力が得られたことで。

酒井初音は無菌防護服に身を包み、手術室へ足を踏み入れた。手のひらにあるのは「魂返しの丹」。転生してからずっと、薬籍を繰り返し読み、黙々と試作と改良を重ね、何度も火入れをやり直...

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